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“蓬莱人の暇潰し。”

作:Fimeria






 露のを含んだ朝の匂いと鳥達の囀りに、私は目を覚ました。
 朦朧とする意識を窓から差し込む日光が覚醒させていく。
 とても懐かしい夢を見た。




 この世界を初めて目に映してからどれ程の年月が過ぎただろうか。
 ぼんやりとした思考でふと考える。
 生まれ落ち、不死となり、憎き姫と殺し合いて、一人の友と過ごす日々。
 今は妖怪のように人里から離れた竹林に庵を建てて、閑居している。
 不便は多いが得に不満なことはない平和な日々だった。
 不老不死といってもお腹は空くし怪我をすれば痛みはある。
 そんな不便さが逆に私に生きているということを実感させてくれる。
 もはや年を数えることは無意味になって、昔のことも思い出すこともなくなった。
 それでも、今更ながらに過去を深く思い出すのもいいかもしれない。
 自分が何者であったのか、大事な何かを忘れない為に。
 こんな酔狂なことを思いついたのも、懐かしい夢と無限に与えられた暇のせいだろう。



――さて、何処まで思い返そうか。







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