――咲夜、あなたに休暇を与えようと思うの。
その気紛れは日常の始まりだった。
狼狽する咲夜に溜息ひとつ。
レミリアは純粋に咲夜に休暇を与えただけなのに、普段の行いが見えるというものである。
そして、一日限りの暇を持て余す咲夜は一人、呆然と立ち尽くすのだった。
「あら、紅魔館のメイドさんじゃない」
「あら、美味しそうな兎さんじゃない」
「そういう冗談は嫌いだよ、人間のくせに」
人間だからか、と笑う白い影が。
「良かったら、今日だけでも休んでいかれたらどう?」
「…………でも」
「暗いうちはここから出られないわよ」
終始笑顔を崩さぬ薬師が。
「覚えていますか?」
「ええ、負けたのよね……私」
「弾幕ごっこのルールも知らなかった頃ですからね」
冗談めいた恨み言に、苦く笑う門番が。
「ええ、レミィは来ていないわ、少なくともこの三日のうちには」
「何か知っているのですか?」
「逆に、あなたは知らないの?」
忍び笑いを隠さぬ魔女が。
「いかがいたしましたか?」
「小悪魔…………別に、何もないわ」
「む、嘘ですね。パチュリー様、寂しそうなお顔をなさっています」
図書館の影に潜む心優しい悪魔が。
何も変わらない日常に、語るのは小さな昔話と大切な約束。
ひとつめは永遠の園にて、
ふたつめは真紅の門前にて、
みっつめは図書館の暗がりにて、
さいごに、群青色の部屋の中で、
「私は、咲夜にずっと一緒に居てほしかった」
寂しがり屋の女の子と。
「私はずっと、傍に居ますからね」
十六夜咲夜が、語る。
とある日常から振り返る過去の話。未来の話。
そこには小さな「親愛」の物語が綴られている。
「いや、あのときのレミィは本当に可愛らしかったです」
東方project fonbook
十六夜さんの瀟洒な休日』
東方創想話にて未完結だったSSがサンクリエイション42にて再発表!
総ページ数100枚の大ボリュームでお届けする4章構成の「ほのぼのしっとり」ストーリー。
表紙は豪華! 「ジギザギのさいはて」安威拓郎さん!
まさかの挿絵は九枚入り! 拓郎さん入魂の絵は日常を鮮やかに演出することでしょう!
そしてダメ押し付録は「四面楚歌」人比良さんの書評!
かのホームページの同人誌感想が好きなら是非読んでいただきたい出来となっております!
最初から最後まで豪華な愚者研究室、初の同人誌。
サンクリエイション42「D/ホ−27b」にてコインいっこ(500円)で配布させて頂きます。
その際、高額紙幣による購入が困難と予想されますので、なるべく釣り銭の出ないようお願いいたします。
また、会場ではペーパーの配布も予定しております。
どうぞ皆様、本誌一冊につき一枚お持ち帰りください。
よろしくお願いします!